ボイトレスクール選びの体験レッスンで、本当に見るべきチェックポイント

以前、Google口コミの見方について記事を書きました。

口コミはあくまで「行く前の候補を絞るための道具」であって、最後に決めるのは体験レッスンで感じた手応えだ、という話をしました。

では、その体験レッスンで、実際に何を見ればいいのでしょうか。

多くの人は、体験レッスンを

「なんとなく雰囲気が良かった」

「先生が優しそうだった」

という印象だけで終えてしまいます。

もちろん雰囲気も大事です。
でも、それだけで判断すると、口コミと同じ落とし穴にはまります。
表面的な印象は、演出でいくらでも作れてしまうからです。

私自身、ボイストレーナーとして現場に関わる中で、「このスクールは体験の時点で見抜けたはずなのに」と感じるケースを何度も見てきました。

今日は、体験レッスンで本当に見ておくべき7つのチェックポイントをお伝えします。

この記事を書いている人

この記事を書いているMotto!はこんな人!

①年間1000時間以上の
指導実績のあるボイストレーナー

②声優志望、プロの声優への
マンツーマンレッスン実績が
年間500時間程度あります

③運営サイトが
にほんブログ村
ボイストレーニング・声優志望
ジャンルで1位を継続中

① 勧誘の圧が強くないか

まず見てほしいのは、レッスンの中身よりも先に「体験後の空気」です。

体験レッスンが終わった直後、その場で契約を迫ってくるスクールがあります。

  • 「今日決めていただければ特典が」
  • 「今月中に契約する方が多いです」

――こういった、その場での即決を促す演出です。

こういう空気を作るスクールほど、実は指導そのものより営業力で成り立っていることが少なくありません。
教える中身に自信があれば、無理に急かす必要がないからです。

良いスクールほど、体験の最後は「ぜひ一度、考えてみてください」で終わります。
あなたが比較検討する時間を、むしろ歓迎してくれます。

その場で契約書にサインさせようとする空気を感じたら、一旦持ち帰る。
それだけで避けられる失敗はかなりあります。

② 悩みを聞いた上で組み立てているか、テンプレ通りか

体験レッスンの最初に、あなたの悩みや目標を聞かれるはずです。ここからが本番です。

問題は、その悩みが実際にレッスンの中身に反映されているかどうかです。

たとえば「高音が出ない」と伝えたとします。
ここで、他の生徒にも同じように話しているであろう腹式呼吸の説明から、判で押したように入っていく。

これは、あなたの悩みを聞いた「ふり」をしているだけかもしれません。
決まったカリキュラムに、後からあなたを当てはめているだけの可能性があります。

逆に信頼できるパターンはこうです。

「高音が出ない、ということは、まずは実際に出してみましょうか」と、
その場で実際に歌わせたり声を出させたりして、なぜ出ないのかをその場で分析してくれる。
原因の見立てが、あなた個人に対して行われている感覚があるかどうかです。

説明が「一般論」から始まっているか、「あなたの声」から始まっているか。
ここに、最初の分かれ目があります。

これは、病院に置き換えるとイメージしやすいかもしれません。
「お腹が痛いんです」と伝えたときに、特に検査もせずにとりあえず胃薬を出す医者がいたら、ちょっと不安になりますよね。
本当は、痛みの場所や症状の出方によって、考えられる原因はいくつもあるはずです。
ボイトレも同じです。

「高音が出ない」という一言だけで、原因を確かめもせずに決まった説明を始めるのは、検査なしで薬を出しているのとそう変わりません。

③ 自分のやりたいことを、はっきりぶつけてみる

これは、受け身にならないための一番実践的な方法です。

体験レッスンに行く前に、自分が何をしたいのかを明確にしておいてください。

  • 「このオーディション曲を歌えるようになりたい」
  • 「このセリフをこう演じたい」
  • 「もっと通る声で話したい」

――できるだけ具体的な方がいいです。

そして、それを体験レッスンの場でそのままぶつけてみてください。

大事なのは、そのときの講師の答え方です。

何を聞いても「大丈夫です、できます」としか返ってこない講師には、少し注意した方がいいと思います

声にも身体にも個人差があり、目標によって難易度も道のりも変わるはずなのに、
その違いに触れずに一律で「できます」と言い切るのは、実力よりも安心感で契約を取ろうとしている可能性があるからです。


④ できないことを、できないと言える

③と関連しますが、ここは特に強調したいところです。

信頼できる講師は、

  • 「これは自分の専門ではない」
  • 「時間がかかる」
  • 「その悩みなら、こういうアプローチの方が合うかもしれない」

と、できないことをできないと言います。

これは一見、頼りなく聞こえるかもしれません。
でも実際は逆です。

自分の指導の範囲を正確に把握していて、それを正直に伝えられるというのは、相当な自信と誠実さがないとできないことです。
「なんでもできます」と言い切ってしまう方が、実はずっと簡単なんです。

Motto!
Motto!

正直に言うと、ここは私自身の美学が入っている部分でもあります。
ただ、実際に生徒さんの相談を受けていても、「前のスクールでは何でも『できます』と言われ続けて、結局何も変わらなかった」という声を聞くことは少なくありません。

できないことを認められる講師の方が、結果的に信頼できるケースが多いように感じています。

⑤ フィードバックが精神論になっていない

レッスン中に何かアドバイスをもらったら、その内容をよく聞いてみてください。

  • 「もっと気持ちを込めて」
  • 「もっと声を前に出して」

――こういった感覚的な言葉だけで終わっていないでしょうか。

これらは間違いではないのですが、なぜそうすればいいのか、どうすればそれができるのかが分からないままだと、再現性がありません。
次に一人で練習するとき、また同じところでつまずきます。

一方で、

  • 「ここで息の量が落ちているから、もう少し長く保つ意識をしてみましょう」
  • 「この母音のときに喉が締まりやすいので、この形を意識してみてください」

のような、具体的で試せる指摘があるかどうか。

たとえば、音程がブレるという悩みがあったとします。
これを

「気合いで直しましょう」

で終わらせてしまうのは、精神論の典型です。

原因を特定するなら、もっと粒度を細かくできます。

まず「あ」だけで歌ってもらい、それでもブレるなら発声そのものの課題です。
そこは安定しているのに、母音を動かした瞬間にブレるなら母音の課題。
母音は問題ないのに、子音を入れるとブレるなら子音の課題、というように、切り分けていくことができます。

原因がぼんやりしたまま「もっと頑張って」で片づけてしまうのは、分析を放棄しているのとほぼ同じです。
精神論は、たいていこの「切り分けをしていない」ところから生まれます。

そして、その指摘通りにやってみて、その場で変化を体感できるかどうかも大事な基準です。
「あ、さっきより出た」という手応えがあれば、その指導には根拠があります。

⑥ スクールの説明ばかりで終わっていないか

体験レッスンの時間配分も、意外と見落とされがちなポイントです。

体験レッスンの多くは30分から1時間程度ですが、その時間の中で、実際に声を出したり歌ったりする時間がどれくらい確保されているか、意識してみてください。

あまり良くないスクールほど、スクールの実績やコース説明、料金プランの案内に時間を使いがちです。
気づけば、ほとんど声を出さないまま体験レッスンが終わっていた、ということも起こります。
それでは、指導の質を判断する材料がほとんど得られません。

体験レッスンは、本来「このスクールで教わったらどうなるか」を実際に確かめる時間のはずです。
説明ばかりで終わったなら、それは体験ではなく説明会だったということです。

⑦ 質問への答え方に、教える力が表れる

最後は、レッスン中や質問への受け答えの「分かりやすさ」です。

専門用語を並べられて、なんとなく納得させられていないでしょうか。
専門用語自体が悪いわけではありませんが、それに頼らずに説明できるかどうかは、教える力そのものを表しています。

特に見てほしいのは、感覚的なことを物理的に説明できるかどうかです。

  • 「喉を開けて」
  • 「もっと響かせて」

といった感覚的な表現しか出てこないのか。
それとも、

  • 「口の中の広さをこう変えると」
  • 「息の通り道をこう意識すると」

のように、身体の仕組みに基づいて説明できるのか。

例え話が上手いかどうかも、良い指標になります
分かりやすい例え話は、相手の理解度に合わせて説明を組み立てる力がないと出てきません。
テンプレートの説明を繰り返しているだけの講師には、これができません。

たとえば「喉を開けて」という指導は、ボイトレでよく使われます。

これに対してよくある言い方が「あくびの形にして」というものです。
方向性としては間違っていないのですが、これだけだとまだ感覚的で、人によって再現度に差が出ます。

もう一段階、物理的に説明するとしたら、こんな言い方ができます。

Motto!
Motto!

「上の奥歯と下の奥歯を離すように、口を広げてみてください」

「あくびを噛み殺す」という言い回しがあるように、あくびの状態というのは、噛んでいる状態とはちょうど逆の状態です。奥歯を離す意識を持つだけで、あくびに近い状態が自然に作れます。
そして、この意識を持つと、本来は必要のない喉まわりの筋肉を余計に使わずに済む、ということにも気づけたりします。

「あくびの形」という感覚的な指示から、「奥歯を離す」という誰でも再現できる物理的な動作にまで落とし込めているか。
ここに、説明の解像度の差がはっきり表れます。

「なぜそうなるのか」を、あなたの言葉で理解できる説明をしてくれるかどうか。
ここに、教えるのが上手い人かどうかが、はっきり表れます。

まとめ|体験レッスンは「試される場」ではなく「試す場」

7つのチェックポイントを振り返ります。

  1. 勧誘の圧が強くないか
  2. 悩みを聞いた上で組み立てているか、テンプレ通りか
  3. 自分のやりたいことをはっきりぶつけてみる
  4. できないことを、できないと言えるか
  5. フィードバックが精神論になっていないか
  6. スクールの説明ばかりで終わっていないか
  7. 質問への答え方に、教える力が表れる

体験レッスンというと、なんとなく「見られる場」「評価される場」のように感じてしまう人が多いかもしれません。

でも、本当は逆です。
体験レッスンは、あなたがスクールを「試す場」です。

Motto!
Motto!

雰囲気だけで判断せず、この7つを持って臨んでみてください。
それだけで、見えてくるものがかなり変わるはずです。

そして、良い体験レッスンに出会えたなら、その手応えを信じてください。
それが、口コミよりもずっと確かな判断材料になります。

口コミの見方を改めて見直したい人はこちら

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