『高い声で歌える本』レビュー|専門的すぎる?それとも発声理論の宝庫?

※本記事にはプロモーションが含まれています

高い声出せなくてに悩んでいませんか?

「カラオケで高い声が出なくて悩んでいる」

「憧れの曲を原キーで歌いたいのに、いつも苦しい」

そんな経験をしたことはありませんか?

歌が好きな人なら一度は「もっと高い声を出せるようになりたい!」と感じるはずです。
私自身、レッスンの中で生徒さんから一番多く寄せられる悩みが

「高音が出ない」「出ても苦しい」

という声。
高い声をスムーズに出せるかどうかは、歌を楽しむうえで非常に大きなテーマです。

そんな中、本屋でひときわ目を引くタイトルの本を見つけました。

その名も『高い声で歌える本』

思わず

Motto!
Motto!

「これはまさに生徒さんのニーズに合っているのでは?」

と手に取り、レビュー用に購入して読み進めてみました。
今回は実際に最後まで読んだ感想を、ボイストレーナーの立場からまとめてみます。

この記事を書いている人

この記事を書いているMotto!はこんな人!

①年間1000時間以上の

指導実績のあるボイストレーナー

②声優志望、プロの声優への

マンツーマンレッスン実績が

年間500時間程度あります


第一印象:キャッチーなタイトルと中身のギャップ

まず最初に思ったのは「タイトルと中身のギャップがすごい」ということ。

「高い声が出る!」とシンプルに期待させるタイトルですが、内容はかなり専門的。
正直なところ、普通のハウツー本を想像して読み始めると驚くかもしれません。

本の多くは、声の仕組みを理論的に解説する学術書に近い内容。
発声に関する最新の研究や考え方をベースにしていて、「声帯の使い方」にとことん焦点を当てているのが特徴です。


読みやすさ:文章は砕けているが、用語は難解

本を開いてすぐに感じたのは「文章自体は話口調で読みやすい」ということ。
堅苦しい研究書というよりは、著者が読者に語りかけるようなスタイルで書かれています。

ただし、登場する用語はかなり専門的。
正直、一般の方にとっては「何を言っているのか分からない」と感じるレベルかもしれません。

ボイストレーナーである私自身は共感できる部分も多く、「なるほど!」と思う知見も散りばめられていましたが、
歌を楽しむ一般層にはハードルが高い本と言えるでしょう。


理論と実践の関係:声帯にフォーカスした内容

内容を整理すると、この本の理論は「声帯の鳴らし方・使い方」に集約されています。

一般的なボイトレ本だと「呼吸法」や「共鳴(響き)」の解説が中心になることが多いのですが、本書はそこをほとんど割愛。
とにかく声帯にアプローチする考え方が軸になっています。

そのため、理論と練習法はしっかり結びついてはいるのですが、
「読むだけでできる練習」というより「理論を理解してから練習に取り組む」タイプの内容になっています。


実践のやりやすさ:音源の活用が必須

本には具体的なエクササイズも登場します。
ただし、文字だけだと正直イメージがしにくい。

そこで重要になってくるのが付属のダウンロード音源です。
この音源を聞きながら練習することで、初めて効果的に取り組めるように構成されています。

私自身まだ音源をしっかり活用できていませんが、「読むだけでは伝わらない部分を補うために必須」だと感じました。
もし購入される方は、必ず音源とセットで実践することをおすすめします。


他のボイトレ本との違い:圧倒的に理論重視

これまで多くのボイトレ本を読んできましたが、本書の一番の特徴は「理論8割・実践2割」という構成比率です。

一般的な本は「実践7割・理論3割」くらいで、「とにかく練習法を紹介する」ものが多いです。
それに比べると、本書は逆転。
練習法のページは最小限で、そのほとんどが著者の理論に至るまでのストーリーや理屈で埋められています。

この「ストーリー部分」がユニークで、著者がどうやって理論を構築したかが語られるのは他にはない魅力です。

ただし、練習法だけ知りたい人には不向き。

むしろ「理論を学びたい人向け」の専門書的な立ち位置です。


印象的だったポイント

読んでいて特に印象に残ったのは次の2点です。

  • 「低い声には限界があるが、高い声は理論上どこまでも出せる」
    この考え方には強く共感しました。私自身のレッスン経験からも納得できる理論です。
  • 図解や音波形の解説
    声帯や音波形の図が登場し、視覚的に理解させようという工夫が随所に見られます。
    とはいえ、やはり一般層には伝わりにくい可能性が高いと感じました。

総評:どんな人におすすめか?

結論として、この本をおすすめできるのは以下のような方です。

  • ボイストレーナーや声楽経験者など、ある程度の専門知識を持っている人
  • 「なぜ高い声が出るのか?」を理論的に理解したい人
  • 練習法よりも「声の仕組み」を学ぶことに興味がある人

逆に不向きなのは、次のような方です。

  • カラオケで気軽に高音を出したい人
  • 練習法だけをシンプルに知りたい人

まとめ:理論派には貴重な一冊

『高い声で歌える本』は、タイトルから想像する「誰でもすぐに高音が出せる魔法の本」ではありません。
むしろ「声の仕組みを深掘りする発声理論の本」であり、研究肌の人や専門家にとっては大きな発見がある一冊です。

私自身、トレーナーとして「声帯の使い方にもっとフォーカスすべき」という視点を新たに得られました。
今後のレッスンに取り入れていきたいと思います。

一方で「気軽に歌いたい」一般層にとっては、専門用語や理論の多さがハードルになるでしょう。

ですからこの本は、

「声を探究したい人」には非常におすすめ。
「歌を楽しみたい人」には不向き。

この割り切りをもって読むと、本の価値が一層クリアになるはずです。


最後に:行動を促すひとこと

高音は決して才能ではなく、正しいアプローチで改善していけるものです。
もしあなたが「もっと高い声を出したい」と思うなら、まずは理論派か実践派か、自分に合うアプローチを選ぶことが大切。

『高い声で歌える本』は理論派向けの一冊。
興味がある方は、ぜひ音源と合わせてじっくり読み込んでみてください。

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